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猫の慢性腸症とは?症状・原因・検査・治療法を獣医師が解説|町田市 高ヶ坂動物病院
「愛猫が以前よりよく吐くようになった」
「軟便や下痢がなかなか治らない」
「食欲はあるのに、少しずつ痩せてきた」
このような変化が続いていると、「猫ではよくあることなのか」「もう少し様子を見てもよいのか」と迷われる飼い主様もいらっしゃると思います。
猫の嘔吐や下痢、体重減少が長く続く場合、慢性腸症が関係していることがあります。
慢性腸症は一つの病名ではありません。腸に慢性的な異常を起こす複数の病気を含む、広い概念です。その中には、食事の変更によって改善するものや、腸に炎症が起こる病気、消化管リンパ腫などの腫瘍性疾患も含まれます。
特に猫では、症状や血液検査、超音波検査だけでは、炎症性の病気と低悪性度の消化管リンパ腫を完全に区別できない場合があります。そのため、一つの所見だけで判断せず、年齢、症状の経過、体重の変化、基礎疾患、検査結果などを総合して考えることが大切です。
今回は、猫の慢性腸症について、主な症状、原因、検査、治療、家庭での注意点、動物病院を受診する目安を飼い主様向けに解説します。
猫の慢性腸症とは?
猫の慢性腸症とは、一般的に、嘔吐、下痢、食欲低下、体重減少などの消化器症状が3週間以上続き、腸以外の病気や感染症などを除外したうえで考えられる慢性的な腸の病気を指します。
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ただし、「慢性腸症」という名前だけで、腸の中で何が起きているかまで確定するわけではありません。
慢性腸症には、主に次のような病態が含まれます。
食事に関連する慢性腸症
腸粘膜に炎症が起こる慢性炎症性腸症
リンパ球形質細胞性腸炎
好酸球性腸炎
低悪性度消化管リンパ腫
その他の腫瘍性疾患や感染性疾患
以前は「猫のIBD(炎症性腸疾患)」という表現が広く使われていました。しかし、似た症状を示す病気が複数あり、検査を進める前からすべてをIBDと決めることはできません。
そのため現在は、原因がまだ特定できていない段階では「慢性腸症」という言葉を使い、必要な検査や治療への反応を確認しながら病態を整理していく考え方が重視されています。
猫の慢性腸症でみられる主な症状
猫の慢性腸症では、次のような症状がみられます。
繰り返す嘔吐
軟便や下痢
便の回数が増える
食欲低下
食欲にむらがある
体重減少
筋肉量の低下
元気がない
食欲があるのに痩せる
毛づやが悪くなる
腹部を触られるのを嫌がる
まれに便秘
犬の慢性腸症では下痢が目立つことが多い一方、猫では必ずしも下痢が中心になるとは限りません。嘔吐や体重減少だけがみられる猫もいます。
また、低悪性度消化管リンパ腫があっても、症状が軽かったり、飼い主様から見て明らかな異常がなかったりする場合があります。下痢がないからといって、重い腸の病気を否定することはできません。
猫の「時々吐く」は正常とは限りません
猫は毛玉を吐く動物というイメージがあり、定期的な嘔吐が見過ごされやすい傾向があります。
しかし、次のような場合は一度確認が必要です。
月に何度も吐いている
最近、吐く回数が増えた
毛玉以外に未消化のフードや液体を吐く
嘔吐とともに体重が減っている
食欲や元気にも変化がある
高齢になってから嘔吐が増えた
嘔吐の原因は慢性腸症だけではありません。腎臓病、甲状腺機能亢進症、膵炎、肝胆道疾患、異物、腫瘍などでもみられます。
「猫だから吐くのは仕方がない」と判断せず、回数や内容、体重の変化を確認しましょう。
体重だけでなく筋肉量にも注意が必要です
慢性腸症の猫では、背中や腰まわりの筋肉が少しずつ減ることがあります。
お腹の脂肪が残っていると、見た目では体重減少に気づきにくいこともあります。抱き上げたときに軽くなった、背骨や腰骨が目立つようになったなどの変化も重要です。
定期的に体重を測り、過去の記録と比較することが早期発見につながります。
猫の慢性腸症の原因
猫の慢性腸症は、単一の原因だけで起こるとは限りません。
食事、腸内細菌、免疫反応、遺伝的な要因などが複雑に関係していると考えられていますが、すべての猫で明確な原因を特定できるわけではありません。
食事に対する反応
フードに含まれるタンパク質などに対する反応が、消化器症状に関係していることがあります。
このような場合は、加水分解タンパク食や、これまで食べたことのないタンパク源を使った食事へ変更することで改善する可能性があります。
ただし、食事を数日変更しただけでは評価できません。おやつや人の食べ物、他の猫のフードなどが混ざると、正確な食事試験にならないため注意が必要です。
腸粘膜の慢性的な炎症
腸の粘膜にリンパ球や形質細胞などの炎症細胞が入り込み、慢性的な炎症が続くことがあります。
猫では、リンパ球と形質細胞を中心とした炎症をリンパ球形質細胞性腸炎と呼びます。
炎症によって腸の消化・吸収機能が低下すると、嘔吐、下痢、食欲低下、体重減少などが起こります。
腸内細菌叢の変化
腸内には多くの細菌が存在し、消化や免疫機能に関わっています。
慢性腸症の猫では腸内細菌叢のバランスが変化することがありますが、それが病気の原因なのか、腸の炎症による結果なのかは、まだ完全には明らかになっていません。
炎症性腸症と低悪性度消化管リンパ腫の猫で腸内細菌叢の変化が報告されていますが、両者を腸内細菌の検査だけで区別することは困難です。
低悪性度消化管リンパ腫
低悪性度消化管リンパ腫は、小型で成熟したリンパ球が腸に増殖する腫瘍性疾患です。「小細胞性リンパ腫」と呼ばれることもあります。
進行が比較的ゆっくりで、症状も慢性的であることが多いため、炎症性腸症との区別が難しい病気です。
慢性炎症と低悪性度消化管リンパ腫が連続した病態である可能性も検討されていますが、現在も明らかになっていない点があります。
膵炎や胆管炎などを伴うことがあります
猫では、慢性腸症に次のような病気を伴うことがあります。
膵炎
胆管炎・胆管肝炎
慢性腎臓病
甲状腺機能亢進症
膵外分泌不全
糖尿病
猫では腸炎、膵炎、胆管炎が同時にみられる状態を、一般に**三臓器炎(トライアディティス)**と呼ぶことがあります。
一つの症状だけに注目するのではなく、腹部全体や全身の状態を確認することが重要です。
猫の慢性腸症を発症しやすい年齢や猫種
慢性腸症は、若い猫から高齢猫まで発症する可能性があります。
炎症性のリンパ球形質細胞性腸炎は比較的幅広い年齢でみられます。一方、低悪性度消化管リンパ腫は中高齢から高齢の猫で多く、8歳未満では比較的まれとされています。
ただし、年齢だけで両者を区別することはできません。炎症性腸症は高齢猫にもみられ、消化管リンパ腫にも年齢の幅があります。
特定の猫種との明確な関連も確立されていません。
猫の慢性腸症と似た症状を示す病気
慢性的な嘔吐や下痢、体重減少があるからといって、すぐに慢性腸症と診断できるわけではありません。
似た症状を示す病気には、次のようなものがあります。
慢性腎臓病
甲状腺機能亢進症
糖尿病
膵炎
胆管炎・肝疾患
膵外分泌不全
寄生虫感染
細菌・真菌などによる感染症
猫伝染性腹膜炎(FIP)
消化管異物
食物不耐性
高悪性度消化管リンパ腫
肥満細胞腫などの消化管腫瘍
好酸球性硬化性線維増殖症
特に高齢猫では、複数の病気が同時に存在することがあります。
検査結果だけではなく、症状が始まった時期、進行の速さ、食事、生活環境、既往歴、投薬歴などを含めて総合的に判断します。
猫の慢性腸症の検査・診断方法
慢性腸症では、最初から一つの検査だけで診断が決まるとは限りません。
まず腸以外の病気を除外し、そのうえで腸の状態を評価します。猫の年齢、症状の程度、全身状態、検査による負担などを考慮しながら、必要な検査を段階的に選択します。
問診と身体検査
診察では、次のような点を確認します。
嘔吐や下痢が始まった時期
症状の頻度
吐いたものの内容
便の形、色、回数
食欲の変化
飲水量や尿量
体重の変化
現在のフードやおやつ
過去の食事歴
屋外へ出るか
同居動物の有無
現在使用している薬
これまでにかかった病気
身体検査では、体重だけではなく、筋肉量、脱水、口腔内、甲状腺、腹部の痛み、腸管の厚み、しこり、リンパ節などを確認します。
ご自宅での記録が診断の手掛かりになるため、可能であれば、嘔吐物や便の写真、症状の回数、過去の体重記録をお持ちください。
血液検査
血液検査では、慢性腸症そのものを一つの数値で診断するのではなく、似た症状を示す病気や全身への影響を確認します。
必要に応じて、次の項目を評価します。
貧血や炎症の有無
肝機能や腎機能
血糖値
タンパク質やアルブミン
電解質
甲状腺ホルモン
膵炎に関する検査
膵外分泌機能
コバラミン(ビタミンB12)
葉酸
猫白血病ウイルス、猫免疫不全ウイルス
血液検査だけで炎症性腸症と低悪性度消化管リンパ腫を区別することはできません。
ただし、コバラミン低値は慢性腸症の猫でしばしば認められ、低悪性度消化管リンパ腫でより多くみられる傾向があります。コバラミンが正常でも、腸の病気を否定することはできません。
便検査
便検査では、寄生虫や一部の感染症などを確認します。
完全室内飼育の猫でも感染症を一律に除外できるわけではありません。年齢、飼育環境、保護歴、同居猫の有無などに応じて検査内容を検討します。
レントゲン検査
レントゲン検査は、消化管異物、腸閉塞、腹部の大きなしこり、臓器の大きさなどを確認するために行うことがあります。
一方、腸壁の細かな層構造を調べることは難しいため、慢性腸症の評価では超音波検査と役割が異なります。
腹部超音波検査
腹部超音波検査は、猫の慢性腸症を調べるうえで重要な画像検査です。
超音波検査では、次のような点を確認します。
胃や腸の壁の厚さ
腸壁の層構造
腸の動き
病変がある場所
腹腔内リンパ節
肝臓や胆嚢
膵臓
脾臓
腎臓や膀胱
腹水の有無
慢性腸症では、腸壁の粘膜層や筋層が厚くなることがあります。
しかし、腸の筋層が厚いからリンパ腫、厚くないから炎症性腸症というように、超音波所見だけで判断することはできません。
炎症性腸症と低悪性度消化管リンパ腫には超音波所見の重なりがあります。また、超音波検査で明らかな異常がなくても、臨床的に重要な腸の病気が存在する場合があります。
高ヶ坂動物病院では、身体検査に加え、症状に応じて血液検査、レントゲン検査、超音波検査、尿検査などを組み合わせて全身状態を確認します。病院公式サイトでも、内科・画像診断・予防医療を日常診療の流れとして総合的に判断する方針を案内しています。
細胞診
腹腔内リンパ節やしこりが大きくなっている場合には、細い針で細胞を採取する細胞診を検討することがあります。
細胞診は、高悪性度リンパ腫、他の腫瘍、真菌感染症などの確認に役立つ場合があります。
一方、リンパ球形質細胞性腸炎と低悪性度消化管リンパ腫では、どちらも小型のリンパ球がみられることがあります。組織の構造を評価できないため、細胞診だけで両者を確実に区別することは困難です。
消化管の組織検査
食事療法への反応が乏しい場合、症状が進行している場合、画像検査で異常が認められる場合などには、消化管の組織検査を検討します。
組織検査には、主に次の方法があります。
内視鏡で胃や腸の粘膜を採取する方法
手術で腸壁全体の組織を採取する方法
どちらにも利点と注意点があります。
内視鏡検査は体への負担が比較的小さく、粘膜を直接観察しながら複数の組織を採取できます。一方、届かない腸の部位があります。
外科的な全層生検では、空腸など内視鏡が届きにくい場所や、肝臓、膵臓など他の臓器も同時に確認できる場合があります。一方、手術や術後合併症のリスクを考慮する必要があります。
どちらの方法でも、採取する場所、検体数、組織の深さ、検体の取り扱いが診断精度に影響します。内視鏡生検か外科的生検かは一律に決めるのではなく、超音波所見、病変の場所、猫の全身状態、検査の目的を考えて選択します。
当院で実施していない検査や専門的な処置が必要と判断した場合には、状況に応じて二次診療施設への紹介も含めて検討します。
病理組織検査、免疫組織化学、遺伝子検査
採取した組織は病理組織検査で評価します。
必要に応じて、リンパ球の種類を調べる免疫組織化学検査や、リンパ球の増殖パターンを調べるPARRと呼ばれる遺伝子検査を追加することがあります。
ただし、PARRで特定のリンパ球集団が増えている「クローナル」という結果が出ても、それだけで悪性腫瘍と確定するわけではありません。慢性的な炎症でも、特定のリンパ球が増えることがあるためです。
現在のところ、炎症性腸症と低悪性度消化管リンパ腫を単独で確実に区別できる検査や腫瘍マーカーはありません。
最終的には、次の情報を組み合わせて判断します。
年齢
症状とその経過
身体検査
血液検査
超音波検査
病理組織検査
免疫組織化学検査
PARR
食事や治療への反応
病理組織検査は診断の中心となりますが、判断が難しい症例が残ることもあります。検査結果を一つずつ独立して見るのではなく、臨床経過を含めて解釈することが大切です。
猫の慢性腸症の治療方法
治療方法は、疑われる原因、症状の程度、検査結果、年齢、基礎疾患、猫の性格、投薬のしやすさなどによって異なります。
すべての猫に同じ順番、同じ薬が適しているわけではありません。飼い主様と治療の目的や負担について相談しながら、その子に合った方法を検討します。
食事療法
全身状態が比較的安定しており、緊急性の高い病気が疑われない場合には、食事療法を行うことがあります。
候補となる食事には、次のようなものがあります。
加水分解タンパク食
新奇タンパク食
消化性に配慮した食事
食物繊維の種類や量を調整した食事
食事試験では、決められたフード以外を与えないことが重要です。少量のおやつ、投薬用の食品、同居動物の食べ残しも評価に影響します。
ただし、食欲が低下している猫に無理な食事変更を行うと、必要な栄養を摂取できなくなる可能性があります。猫は食べない状態が続くと肝リピドーシスを起こすことがあるため、食事療法は食欲や全身状態を確認しながら進めます。
コバラミンの補充
血液検査でコバラミンが低い場合には、注射や内服による補充を行うことがあります。
コバラミンは、消化管の健康、造血、細胞の代謝などに関係するビタミンです。慢性腸症や膵外分泌不全などで不足することがあります。
嘔吐や食欲低下に対する治療
症状に応じて、次のような支持療法を行うことがあります。
吐き気止め
食欲を支える治療
脱水に対する輸液
栄養管理
電解質異常の補正
支持療法によって症状が改善しても、原因となる病気が解決したとは限りません。再発する場合や体重減少が続く場合には、追加検査が必要です。
炎症を抑える治療
慢性炎症性腸症が疑われる場合には、食事療法などを行ったうえで、ステロイド薬を中心とした抗炎症・免疫調整治療を検討することがあります。
薬の種類や投与量は、症状、体重、検査結果、糖尿病などの基礎疾患によって調整します。
症状が改善した後も、急に薬を中止せず、経過を確認しながら減量することがあります。
低悪性度消化管リンパ腫の治療
低悪性度消化管リンパ腫では、一般的にステロイド薬と抗がん剤を組み合わせた内科治療が検討されます。
低悪性度消化管リンパ腫は比較的ゆっくり進行することがありますが、猫によって経過は異なります。
治療を行う際には、次の点を確認します。
症状の改善
体重や筋肉量
血球数
肝機能や腎機能
食欲
嘔吐や便の状態
投薬による副作用
診断の確実性、猫への負担、飼い主様が自宅で継続できる治療かどうかも含めて方針を考えます。
猫の慢性腸症を放置するとどうなる?
慢性腸症を放置すると、嘔吐や下痢が続くだけでなく、次のような問題につながる可能性があります。
体重減少
筋肉量の低下
脱水
栄養状態の悪化
コバラミンなどの栄養素不足
食欲低下
基礎疾患の悪化
腫瘍性疾患の診断の遅れ
慢性腸症のすべてが急速に悪化するわけではありません。
しかし、慢性的な変化に飼い主様が慣れてしまい、受診時には大きく体重が減っていることもあります。特に中高齢の猫では、「年齢のため」と考えずに一度原因を確認することが大切です。
猫の慢性腸症は予防できる?
慢性腸症を確実に予防する方法は、現在のところ確立されていません。
ただし、症状を早く発見し、重症化や診断の遅れを防ぐために、ご家庭でできることがあります。
定期的に体重を測る
猫の体重減少は、見た目だけでは気づきにくいことがあります。
少なくとも月に1回程度、同じ条件で体重を測り、記録しておくと変化に気づきやすくなります。
嘔吐や便の状態を記録する
嘔吐や下痢があった日、回数、内容を記録しましょう。
スマートフォンで写真を撮っておくと、診察時の参考になります。
食事内容を急に変えない
急な食事変更で一時的な消化器症状が起こることがあります。
フードを変更する場合は、猫の状態を見ながら段階的に切り替えます。すでに症状がある場合は、自己判断で複数のフードを次々に試す前に動物病院へ相談しましょう。
年齢に応じて健康診断を受ける
慢性腎臓病や甲状腺機能亢進症など、慢性腸症と似た症状を示す病気は、健康診断で早期に見つかることがあります。
特に中高齢の猫では、元気や食欲だけでは健康状態を判断できないことがあります。定期的な身体検査、体重測定、血液検査などによって、その子の基準値を把握しておくことが大切です。
高ヶ坂動物病院では、年齢や生活環境、その子の性格などに合わせた健康診断を案内しています。
猫の慢性腸症で動物病院を受診する目安
次のような症状がある場合は、早めに動物病院へご相談ください。
嘔吐や軟便が繰り返される
消化器症状が3週間以上続いている
吐く回数が以前より増えた
体重が減ってきた
背中や腰の筋肉が落ちてきた
食欲にむらがある
食欲はあるのに痩せる
高齢になってから嘔吐や下痢が増えた
治療しても症状を繰り返す
血便や黒い便が出た
元気がなく、食事をとれない
特に、次の状態では早急な受診が必要です。
何度も続けて吐く
水も飲めない
ぐったりしている
強い腹痛が疑われる
お腹が張っている
呼吸や意識状態がおかしい
誤食や異物摂取の可能性がある
24時間以上ほとんど食べていない
猫は体調不良を隠すことがあります。「いつもより食べる量が少ない」「寝ている時間が増えた」といった小さな変化も、病気の初期症状である可能性があります。
④ まとめ・受診案内
猫の慢性腸症は、慢性的な嘔吐、下痢、食欲低下、体重減少などを引き起こす病気の総称です。
食事に関連するもの、慢性的な腸炎、低悪性度消化管リンパ腫など、複数の病態が含まれます。また、腎臓病、甲状腺機能亢進症、膵炎、胆管炎など、似た症状を示す病気や併発する病気もあります。
血液検査や超音波検査は重要ですが、一つの検査結果だけで炎症性腸症と消化管リンパ腫を完全に区別できるわけではありません。必要に応じて食事療法への反応を確認したり、消化管の組織検査を検討したりしながら、原因を段階的に整理します。
治療方法は、年齢、症状、進行度、検査結果、既往歴、生活環境、その子の性格、ご家庭で継続できる治療などによって異なります。
高ヶ坂動物病院では、「責任ある医療とは、考え続けること。」という考えのもと、検査の数値だけではなく、症状の経過や日常生活、飼い主様のご希望も踏まえて診療方針を検討します。
また、病気になってからの治療だけでなく、健康診断や予防医療から日常的な一般診療まで、予防から診療までの総合診療を大切にしています。病院は町田市高ヶ坂にあり、成瀬・成瀬駅周辺や町田駅周辺から受診を検討される際は、公式サイトの診療案内をご確認ください。
愛猫の嘔吐や軟便が続く、以前より痩せてきた、食欲にむらがあるなど、気になる変化がありましたらご相談ください。
⑤ FAQ|猫の慢性腸症についてよくある質問
猫の慢性腸症は自然に治りますか?
一時的な食事の変化などで症状が改善することもありますが、慢性腸症には腸炎や消化管リンパ腫などが含まれます。嘔吐、下痢、体重減少が続く場合は、自然に治ると判断せず、原因を確認することが大切です。
猫が時々吐くのは病気ですか?
毛玉などを一度吐いただけで、その後元気や食欲に問題がなければ、必ずしも病気とは限りません。ただし、月に何度も吐く、回数が増えている、体重が減っている場合は、慢性腸症を含む病気が隠れている可能性があります。
猫の慢性腸症と消化管リンパ腫は超音波検査で区別できますか?
超音波検査は、腸壁の厚さや層構造、リンパ節、膵臓、肝胆道系などを確認する重要な検査です。しかし、炎症性腸症と低悪性度消化管リンパ腫では所見が重なるため、超音波検査だけで確実に区別することはできません。
猫の慢性腸症では必ず内視鏡検査が必要ですか?
すべての猫に最初から内視鏡検査が必要なわけではありません。まず身体検査、血液検査、便検査、画像検査、食事療法への反応などを確認し、症状や検査結果に応じて組織検査を検討します。
猫の慢性腸症は何歳くらいから多くなりますか?
慢性炎症性腸症は幅広い年齢でみられますが、低悪性度消化管リンパ腫は中高齢から高齢の猫で多い傾向があります。ただし、年齢だけでは判断できないため、症状や体重の変化、検査結果を総合して評価します。
参考文献
Marsilio S, Freiche V, Johnson E, et al. ACVIM consensus statement guidelines on diagnosing and distinguishing low-grade neoplastic from inflammatory lymphocytic chronic enteropathies in cats. J Vet Intern Med. 2023;37:794-816.









